読売新聞記事です❣️2月1日
以下は読売新聞より。
福祉用具使って安全な介護・看護と働く人の負担軽減「ノーリフティングケア」…九州大谷短期大学で体験会
福祉用具の使い方を体験する高校生ら(読売新聞)
福祉用具を効果的に活用して、安全で安心な介護・看護につなげる「ノーリフティングケア」の取り組みを知ってもらおうと、福岡県筑後市の九州大谷短期大で、高校生や短大生、地域の福祉施設で働く人たちを対象にした体験会と実践報告会が開かれた。参加者からは「福祉用具がもっと普及すれば、福祉の現場で働く人も増えるのでは」との声が上がった。
施設職員らは、トイレや入浴のために入所者を抱き上げてベッドから車椅子へ移乗させる際、腰などを痛めるケースが多く、「きつい仕事」というイメージが大きい。こうしたことから、県は職員の負担軽減を目指しており、2020年度からは、ノーリフティングケア普及促進事業を実施。事業を受託している「NPO福祉用具ネット」が中心になって県内各地区で普及活動に取り組んでいる。
昨年12月中旬、同短大で開催された体験会・報告会は、同事業筑後地域連絡協議会が企画。同短大や、県立久留米高等技術専門校(久留米市)の学生、大牟田高(大牟田市)の生徒ら計約70人が参加した。
生徒らは、▽歩行が困難な人が立ち上がるのを介助し、立ったまま移動できる機器▽ベッドに横たわった人をリフトで持ち上げ、車椅子まで運ぶ移乗装置▽寝ている利用者の下に筒状の特殊なシーツを敷き、大きな力を加えることなく体を動かすことができる用具――などを体験。福祉用具専門相談員は「購入費の補助がある用具や、レンタルで費用を抑えて使える用具もある。自宅で使う人もいます」と説明していた。
生徒らは「抱きかかえて介護するのに比べると楽だし、腰を曲げることも少ないので、体調を崩す不安も少ない」と驚いたり、「福祉用具が当たり前のように活用されるようになれば、働きたいと思う若い人が増えるのでは」と関心を示したりした。
報告会では、こうした福祉用具を使っている筑後地区の老人ホームなど19施設が実例を発表。「かつては腰痛を訴えた職員が約9割にのぼったが、3年間の用具活用で、現在は56%に減少した。抱きかかえていた頃に比べ、少ない職員で担当できるようになった」「職員と利用者の体が触れることが減り、利用者にとっても身体的、精神的な負担が減っているようだ」といったことを紹介した。
一方で、福祉施設の多くは、ぎりぎりの職員数で多忙な業務に追われ、福祉用具の使用方法の研修などを受ける余裕がないことや、福祉用具の購入に対し、補助金が受けられないものが多いなどの課題もある。
促進事業にモデル施設として参加してきたみやま市の特別養護老人ホーム「常照苑」の横倉義英施設長は「課題はあるが、体験会などを通じて福祉用具を活用する施設が少しでも増えてほしい。若者に関心を持ってもらうことで、人材不足の改善にもつながってほしい」と話している。